迷える子豚~これまでを振り返る編~

 最近、「自分の好きなことを本業にして生きていきたい」と改めて考えるようになった。でも、どうしたら良いか分からない。どの道を選んでも後悔しそうで怖い。

 私には趣味といえる趣味が無い。好きな芸能人、歌手、食べ物(etc.)を聞かれても、絶対これというものが無い。そんな中で強く心惹かれるものが日本史だった。小6で社会の授業に歴史が加わった時から、中学でも歴史以外の地理・公民には全く興味が無かったし、高校でも日本史Bの授業が断トツで好きだった。大学の志望校を決めるとき、私は当時雑誌の編集者になりたかったから、はじめ社会学やマスメディア系の学部を志望していた。でもある時、本当にそうしたいのか分からなくなって担任の先生に相談したところ、将来なりたい職業につながる勉強も大切だけど、自分が好きなものを大学で勉強したら良いよとアドバイスをもらった。そこで浮かんだのが日本史だった。そこから、日本史が学べる関東方面の国公立大学を探してたどり着いたのが、史学科のある〇葉大学。しばらくは第一志望にしていたけど、模試はずっとD、E判定だったしセンター試験を受けてもやっぱり厳しそうということで、先生に勧められたのが母校だった。

 大学で日本史を勉強し始めて、一時期なんか思ってたのと違うぞとなった。高校までの日本史は、古代から現代までの政治や文化の流れを学ぶものだった。一方大学でのそれは、一つのテーマに関して狭く深く追究するものだから、日本史の講義といってもその教授の専攻分野に興味が無いとかなり退屈だった。だから私の卒論指導をしてくれた先生の講義でも何回か寝た。でも自分の研究したいことが明確になってから、延々とくずし字を解読したり資(史)料を求めて遠くまで足を運んだりする時間はとても充実していて、やっぱり私は日本史が好きだと思った。

 ちなみに私の卒業論文のテーマは、「近世日本の朝廷祭儀における女官の役割ー掌侍による新嘗祭の神饌供進摂行奉仕を例としてー」とやたら長い。元々は女性天皇に興味があったけど、紆余曲折を経て最終的には女官(天皇に仕える女性官人)に焦点を当てることにした。テーマが決まるのが遅くて時間が足りなかったことや、くずし字読解力の無さから、知りたかったことに対する完璧な答えを出すことはできなかった。卒論の〆切が1月中旬で、年末になんとか第一稿を書き上げて先生に添削依頼メールを送った。1月3日の夕方に研究室に呼ばれ、恐怖で死にそうになりながら訪ねたら意外にも褒めてくれて嬉しいというより拍子抜けしてしまった。その場には、別の大学の院生だという先生の奥さんもいて(といっても年齢はたぶん先生と同じくらい)、この人がこんなに褒めること無いよと言って干梅をくれた。卒論提出後、先生からこの先講義や論文などに私の卒論を引用してもいいか聞かれたこと、専攻内での優秀論文に選んでもらえたこと、こんなのでいいのかと思ったけど嬉しかった。先生に勧めてもらうまでは大学院に行くことなんて1ミリも考えていなかったので、その可能性も視野に入れておけばよかったなと思いながら、若干後ろ髪を引かれる思いで卒業した。後半へ続く。

 

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